私は広角系のズームレンズとして、AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G EDを持っています。18mmから35mmという画角は、風景や建物を映すのに便利です。しかもこのレンズはとにかく軽い(385g)のがよいところ。軽量ボディのD750につけると総重量は1kg超なので、旅行に持っていく時など負担になりません。
ニコン純正の広角系FXズームは、他に以下の3本のレンズがあります。私はこれらと比較して、スペックが低いけど一番安くて軽い18-35mm f/3.5-4.5G EDを購入しました。
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR
AI AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm f/2.8D IF-ED
もちろん14-24mm f/2.8G EDの画質は別格です。このレンズを使いたいが故にニコンを選択する人もいるくらい。私も欲しなとは思いますが、すでに1.8G単焦点シリーズの、20mm、24mm、28mm、35mmを持っているので、わざわざ重い14-24mm f/2.8G EDを買う必要はないかなと思ってます。また出目金レンズでフィルターがつかないところも躊躇する点です。また16-35mm f/4G ED VRはバランスのとれた新しいレンズですが、価格が高いのと、広角のVRはいらないし、17-35mm f/2.8D IF-EDは古い設計で、周辺光落ちの傾向があります。
そういう選び方をしたので、私の中での18-35mm f/3.5-4.5G EDに対する評価は、「他の広角ズームレンズや単焦点より多少画質が落ちるけど、軽いので使いやすいレンズ」という位置づけになっていました。
しかし最近、18-35mm f/3.5-4.5G EDを使っているプロのカメラマンが、このレンズをとても褒めている記事を読みました。値段の割に歪みも少なく解像するレンズであるとのこと。それを読んで、もしかしたら自分はこのレンズを過小評価していたかも、と思いはじめました。
超高性能な14-24mm f/2.8G EDがあるので、このレンズに対しキットレンズのような性能の印象を持っていましたが、考えてみると10万円もするニコンの純正レンズです。もしかすると今まで勿体ない使い方をしていたかもと思いました。そこで、風景を適当に撮るより、もっと活用できる使い道があるのではと思って、ポートレートの撮影で使用してみることにしました。
撮影は淀屋橋から北浜の間の地下街で行いました。本当は中之島公園で撮るつもりでしたが、雨が降ってきたので雨を避けて地下街で撮りました。モデルさんが白い服を着ていたので、モノクロモードで撮るといい写真になると思い、撮影のときから白黒にしています。設定は絞り優先オートで、補正を入れながら撮りました。
屋外のポートレートでは、うるさくなる背景をぼかして、主題の人物を浮き上がらせる写真を撮ることが基本的な撮影方法です。また人物のプロポーションを歪ませないようにするためには、中望遠を使うほうがよいといわれてます。したがって基本は85mmや135mmの単焦点、70-200mmのズームレンズなどが使われます。
しかし、広角レンズを使っても、いろいろ面白い写真が撮れます。私もボケ多用は単調に感じるので、広角の単焦点を使ったポートレート写真をよく撮ります。20mm、24mm、28mm、35mmなどの単焦点で撮影すると、構図を工夫するので、ズームを使うより面白い写真を撮ることが出来ます。
ただし屋外で撮影する場合は、スタジオでの撮影と違って通行人の邪魔にならないように撮影しなければいけませんし、埃があるのでレンズ交換もしたくありません。やはり単焦点よりもズームのほうが便利です。
また、18-35mm f/3.5-4.5G EDの、開放F値3.5~4.5というのも、広角のポートレート撮影では特に不利ではありません。もともと広角レンズで被写体深度を浅くとる写真は撮りませんから。
35 mm f/5 1/80 ISO12800
まずはモデルさんのアップです。これは 35mmで撮っています。このレンズでも近くに寄れば、背景に軽いボケを入れることが可能です。35mmは50mmのようにも28mmのようにも撮れる画角なので好きですね。
18 mm f/3.5 1/160 8000
上のアップと同じ場所で、引いて18mmで撮りました。広角は下からのアングルで撮るとダイナミックな構図になります。駅の地下街の階段も、撮影の面白い背景になります。でも階段の下からだとやはりあおりすぎですね。不自然な画になりました。まだロングスカートなので多少ましに見えますが、スカートが短かったらよい写真にはならないと思います。
18 mm f/4.5 1/160 ISO900
地下街から登った商業施設で面白い照明がありましたので、少し腰をかがめて低めからのショットです。これくらいだと下半身が長く見えてスタイルがいい写真になります。明るい色のロングドレスが広角で映えます。
18 mm f/4.5 1/160 ISO900
撮影アングルを少し上げるとこんな感じです。でもモデルさんの顔よりは下です。広角は撮影アングルを変えることにより画面の構図や、人物の写り方が変わるのでとても面白いですね。ちなみにモデルさんの身長は156センチ。
35 mm f/4.5 1/500 ISO800
お顔のアップです。35mmは最近好きな焦点距離です。この場所は某化粧品のある会社のビルなんですが、面白い写真が撮れます。
18 mm f/4.5 1/250 ISO800
外に出てカラーでも撮りました。可愛いモデルさんです。
18 mm f/3.5 1/640 ISO800
18 mm f/3.5 1/640 ISO800
18mmで距離を変えて2枚。単焦点の時は足を使って画角を調整しますが、ズームレンズの時は足を使わずズームで調整してしまいます。レンズと足を両方使った方がいいですね。
上の写真のどちらがいい構図かは、モニターの大きさによって変わると思います。スマホで見ると上、PCのモニターで見ると下の画像ですかね。
18 mm f/3.5 1/320 ISO800
モノクロ写真のいいところは、なんでも面白い背景になること。コインロッカーの前で昭和っぽい感じを狙ってみました。床のブロックやロッカーの形状が白黒で映えます。
18 mm f/3.5 1/250 ISO800
標準では撮れない広角ならではの画角です。大きなモニターで見ないとモデルさんの存在感が小さくなっちゃいますね。
18 mm f/3.5 1/250 ISO800
18 mm f/3.5 1/250 ISO800
通行人を画面の背景に使わせてもらってパチリ。外で撮るときは、他の人が写らないようにしがちですが、こういう構図も面白いと思います。
今回は、AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G EDはポートレートで使えるか、というつもりで撮影しました。立派に使えるという結論です。後で見返すと18mmで撮っている写真が多くなってました。24mmや28mmの画角も好きなので、勿体なかったです。ズームリングに焦点距離のストッパーがついていればいいのですが。
18mmの画角でも、工夫すればポートレートで使えると思いますが、モデルさんがショートパンツとか履いていたら、デフォルメされているのが目立ってしまってダメでしょうね。脚が見えている場合は28mm以上で撮ったほうがよいと思います。
街の中のポートレートは、写真に加える要素も多くて、撮っていて楽しいです。18-35mmのこのレンズは軽くて使い勝手がよく、画質も良いので、もう少し使い込んでみたいと思います。レンズのスペックで撮る写真を決めることを少し反省しました。
今回のモデルさんは、写真モデルをやるのは初めてとのことでした。しかし、ポーズを撮るのも様になっていて撮りやすかったです。モデルさんの魅力もあって、写真の出来も良くなったような気がします。