Cobalt's Photolog

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Z5とAI Nikkor 50mm f/1.2Sでポートレート

AI Nikkor 50mm f/1.2Sが、いつの間にか製造中止になっていることをニコンのHPで知りました。このレンズの設計は40年くらい前です。それから最近までずっと売られ続けてきたとは驚きです。

 

AI Nikkor 50mm f/1.2S - 概要 | NIKKORレンズ | ニコンイメージング

私も数何年前に購入して持っています。最近しばらく使ってなかったこのレンズを、最新ミラーレスのZ5につけて、ポートレートを撮影してみたくなりました。あらためて、このレンズにどういう価値があるのか、考えてみました。

 

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作例1:この日のベストショットです。開放で撮って、全体にソフトフォーカスがかかっているかのような柔らかい雰囲気が生まれ、背景のボケもちょうどよいバランスに撮れました。瞳も綺麗に写っています。

 

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作例2:木の間の光を玉ボケにして、地面の落ち葉をなだらかにぼかそうと思った写真です。あと一段階絞ってもよかったかも。

 

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作例3:こういう構図の写真は、やはり85mmや105mmのレンズを使った方がいいだろう、と思いました。70-200mmf2.8を使うほうが美しいボケの背景が撮れますね。

 

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作例4:50mmの背景は、やはりザワザワしています。しっとりとしたボケが好みなら、やはり中望遠レンズのほうがいいですね。

 

 

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作例5:被写体に近づいて開放の背景で撮りました。背景はもう何が映っているのかわからないほどボケています。光の量を考えて撮った方がいいですね。

 

ボケさせてもピントの芯がしっかり残って、やはり優れた基本性能のレンズだなあ、と思いました。

 

私はポートレートを撮るとき、いつもf5.6くらいで撮るようにしています。オートフォーカスで撮るとき、被写体深度が浅いとピントが瞳にあわない失敗が増えるからです。f5.6で撮ると、8割くらいはピン外しの写真はありません。それに開放で背景をぼかすとせっかくたくさん撮っても同じような写真ばかりになりますから、あまり開放では撮らないのです。

 

AI Nikkor 50mm f/1.2Sの最大の価値は、やはりf1.2という明るさですから、今回は背景をぼかす写真を意識的にたくさん撮りました。久しぶりにボケを多用する写真ばかり撮ってみると、背景や被写体との距離などによって、ボケもいろいろと表情を変えることをあらためて実感しました。

 

ボケをいかした写真は中望遠レンズのほうがいい、と決めつけていましたが、標準域のレンズのいろいろと表情を変えるボケを使いこなせると、表現の範囲は広がりますね。

 

 

写真のコンテストでは、レンズの特性をいかした写真が入賞しているのをあまり見たことありません。フォトグラファーの技量や感性というより、レンズの特徴で撮った写真に見えるからでしょうか。

 

レンズの持つ特徴に踊らされるのではなく、先にこういう写真を撮りたい、というイメージがクリアで、それを実現するための機材や技術について考えるのでしたら、こういう特徴のあるレンズが持つ表現力を生かす写真もよいだろうと思いました。