Cobalt's Photolog

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Nikon Zfcについて その②

Zfcの実物をやっと触ることができました。

 

 

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発売前にネットでZfcのデザインを見た時には「欲しい!もしかしたら買うかも!きっと買っちゃう!」とテンションがあがっていましたが、実物を触ってみると、いろいろと感じるところがあって、気持ちがおさまりました。たぶん買わなくてすみそうです。Z50を持っているのだから、そもそも買わなくてよいのですが(笑)

 

テンションが下がってしまった理由はいくつかあります。

 

理由その1:予想していたより安っぽく感じてしまった。

 

正面と上面の質感は高級感があります。ダイヤルもいい感じです。それに比べて背面のボタン類が安っぽくて違和感を感じました。アナログカメラ的な感じは全くなくて、安いデジカメのボタンという感じです。特に背面上部のシルバーのボタンなど。

それから24-50レンズのシルバーの質感がかなり残念過ぎます。プラスチックへの塗装ですが、黒よりもチープな感じになってます。プラスチックは銀色に塗装すると安物感がでちゃうんですよね。また、ボディの黒いシボシートも、凹凸が浅くて紙を貼っているみたい。滑り止めにもなってません。

 

画像を見ると高級感あってカッコいいのですが、実物が安っぽいのは残念でした。富士フィルムのカメラのデザインと比べてみても、ニコンのほうが安っぽく見えました。Z5とZ50があるので、このカメラを買っても防湿庫に飾っておいて、たまに弄ってニヤニヤするつもりだったので、高級感を感じないと購入する意味がありません。

 

理由その2: Z50と比べグリップがホールドしにくい。

 

Zfcを触ってみると、あらためてZ50のグリップ形状やボディの形状は優れていると感じました。Z50はボディがすごく軽いのにもかかわらず、重くて長いレンズをつけても、しっかりカメラをホールドできるのです。グリップの形状がよく考えられているからなのです。いくつもモックアップによる検討を重ねて、あのグリップ形状が生まれたのでしょう。

 

反面、Zfcは持ちにくいし滑ります。キットレンズ以外は、別売りのグリップオプションがないと持ちにくいと思います。Z50はさすが、ニコンのミラーレス機による起死回生を狙った商品。Zfcと比べることで、Z50がよいデザインであることを再確認しましたので、Z50を持っている私にとってはZfcは不要でした。

 

理由その3:「形態は機能に従う(Form Follows Function)」という工業デザインの基本から外れている。

 

優れた工業デザインは、スタイリングと機能が見事に融合した美しさを持っています。Zfcのスタイリングは、そうした美しさというよりも、ファッション的要素を優先している印象です。

 

例えばペンタ部の形状は、フィルムカメラをまねているだけです。意匠の原型であるFM2のペンタ部は、一眼レフとしての機能的な構造が形になっているのに、Zfcはそれを表面的に真似ているだけ。

 

例えるなら、レコードプレーヤーの形を真似たCDプレーヤーのようなもの。お洒落やファッションなら別によいのですが、 工業デザインとして王道を行くべきカメラという分野では不誠実なデザインかもしれない、と思いました。

 

と偉そうに言ってますが、私も工業デザインの仕事で、そういうウケを狙った装飾的なスタイリングをよくやっていたので、批判する資格はありません。ただ、そういう自分を少し反省しているところもあり、Zfcのデザインを少し残念に思うところがありました。

 

以上の3つの理由から、今回Zfcは購入しないと思いますが、もし私がZ50を持っていなくて、どちらにするか迷ったら、Zfcのほうをを購入していたかもしれません。

 

ニコンのミラーレスを持っていない人にとっては、Z50とZfcのどちらにするか悩ましいと思います。ソニーに流れてしまったニコ爺ユーザーを引き戻す力がありそうですので、ニコンはこのカメラを商品化して成功だと思います。