Cobalt's Photolog

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京都で着物ポートレートを撮る(つきさん)

京都で着物ポートレートを初めて撮影しました。モデルは「つき」さん。

 

和服がとてもお似合いの美人さんです。

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着付けは、着物のレンタルサービスを利用しました。京都には、観光客向けの着物レンタルショップがたくさんあります。着付けからヘアセットまでしてくれるるので、気軽に和装を楽しめます。

 

着物の知識は全くありませんが、色と柄を自分で選びたかったので、ショップへは私も同行させてもらいました。最近のレース生地のものからアンティークまで、たくさんの着物が置いてあって迷いました。それらの中から、京都の古い家屋を背景に撮影するなら、緑色が映えるだろうと思い、この着物を選びました。また、観光客に見えない感じにもしたいという意図もありました。着物選びからヘアセットまで1時間程度です。

 

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着物に着替えてもらったら、近くで撮影を開始しました。コンセプトは、ちょっとベタな「大人女性の上品な色香」です。といいつつも、どう撮ればよいかわかりません。とりあえず、京都の古い町並で着物姿の女性を撮れば、何かそれらしいものになるのではないかと思いながら、祇園の路地で撮影してみました。

 

日本の古い家屋や石畳には、やはり和服がとても調和します。でもしばらく撮影していると、しっくりしつつも、何か物足りなさを感じてきました。撮影枚数が増えるにつれて、その理由がわかってきました。

 

それは着物姿のポーズが、単調になるからでした。和服姿の女性は、大きな動きのあるポーズがとれません。手の配置や首の角度、表情など、限られた動作範囲の中で、ポーズを決めることになります。モデルさんのポーズのバリエーションは限られてくるのです。

 

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したがって、同じようなポーズが多くなり、人を撮るというより、風景を撮っている感覚が強くなってくるのです。しかし動きがないということが、静的な雰囲気、そして落ち着きがあるということにも繋がるのですが、なんだかいつものポートレート撮影とは違う感覚に、戸惑ってしまいました。

 

また、歩きながら撮影スポットを探して、その場で考えて構図をつくりますが、これもなかなか難しい。京都は絵になる風景がたくさんあり、どこで撮っても良いはずなのですが、それらをうまく活用できないもどかしさがありました。

 

路地裏での撮影にも満足したので、前から行きたかった南禅寺の水路閣にも行ってみることにしました。水道橋は撮影スポットとして有名で、とても人気があります。着くと案の定、多くの人が撮影していました。ネットにあがっているような綺麗な写真を撮ろうと思ったら、人がいない早朝に来るほうがよさそうです。

 

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写真を撮りに来た女の子目当てのご老体が、いつもいらっしゃると聞いておりましたが、この日も女の子に一生懸命絡んでました(笑)。

 

水道橋の下は人がたくさんいて写真を撮りにくかったので、裏側で陽の光を使って撮ってみました。

 

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水道橋の上に登ってみると、水が流れていました。現在も空中水路として使われているのには驚きです。

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上流へと向かいながら撮影しました。この道もよい撮影エリアです。

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水力発電所のあたりで、逆光で撮影しました。レンズは逆光が得意なAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G EDです。

 

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家に帰って、写真を確認しながら、撮影を振り返り、町撮りで感じた戸惑いやもどかしさについて考えました。

 

今回、「京都の風景+和服」という写真を初めて撮影したのですが、実は京都の街並や和服の撮影には、あまり関心がありませんでした。

 

一眼レフカメラを買った当初、何度か京都に撮影に出かけたことがありました。京都らしい風景を撮ってみようと、休日に一人撮影をしてみたものの、撮ってもあまり面白くならないので、京都で写真を撮るのはやめてしまいました。有名な観光地を撮影するのは、写真を撮るというより、撮らされているかのような気分になるのです。

 

また、和服を撮りたいと思わなかったのは、着物というものは服が目立ちすぎて写真の主役になってしまうから、人を撮るより服を撮っているようになるのではないか、と思っていたところもあります。

 

そのように、京都の風景も和服も、もともと関心が少なかった撮影テーマの組み合わせだったので、なかなかエンジンがかからなかったのだと思うのです。

 

でも幸いにも、撮っていると次第に楽しくなってきました。それはモデルさんのおかげです。何度も京都で撮影モデルをしているというつきさんに、カメラマンが喜びそうなマイナーな撮影スポットを教えてもらいました。また、和服がよく似合って、愛嬌のあるモデルさんを撮っていると、服を撮っている感じにもなりませんでした。

 

今まで関心がなかった京都の町も和服を、あえて撮ってみようと思った今回の試みは、まずまず成功したと思います。新たな発見や気づきもたくさんあって、とても有意義な撮影となりました。着物姿で長時間歩いて案内してくれた被写体のつきさんに感謝します。