Cobalt's Photolog

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兵庫県立美術館で 李禹煥(Lee Ufan)展

兵庫県立美術館で開催していた李禹煥氏の展示会に行きました。行こう行こうと思っていて、結局行ったのは最終日の2/12日でした。

 

 

展示会が終わってから記事をつくっても、誰の役にもたたないのですが、感想を忘備録としてまとめておきます。

 

私が李禹煥氏を知ったのは、直島の美術館に行ったときです。

 

直島には李禹煥美術館があります。安藤忠雄氏のコンクリート打ちっぱなしの構造物と自然の中に、石やら鉄板やらで構成された李禹煥氏の作品がポツンぽつんと置いてあって「うーん。なんだかよくわからん。」と思いました。

 

直島はほかにもいろいろと興味深い芸術作品がたくさんあったので、その中ではかなり地味な印象だったのです。

それから後で、李禹煥氏の国際的な評価を知り、ちょっともったいない鑑賞のしかたをしてしまったかな、と思っていました。今回の展示会は李禹煥氏の作品の再認識という目的で行きました。

氏の作品の特徴は、岩、鉄板、木材という「もの」で構成した作品です。「もの派」というジャンルらしいですが、李禹煥氏がその大家。

 

なんのことはない普通の物体を置いて、照明をちょっと工夫しているだけのようです。

ところが、これらのものの存在感というものが、自分の感覚に訴えてくるものがあるのです。

 

直島は屋外にも展示されていましたが、今回の展示は、閉ざされた空間の中に作品が置かれてあったので、これらの作品がつくりだす世界観がわかりやすかったと思います。その世界観とは物質のもつ存在と、受けての感覚というものを単純化することによって、自分の感覚に対峙させるというものだと思いました。

 

どんな物体も、空間の中で存在感を示し、それは人間の感覚に働きかけます。とくに彫像や建築物などは、その働きかけの仕組みの表現です。そこからできるだけ情報を除外して、感覚だけに絞り込んだものが、氏の作品なのだと思いました。

 

ものではなく、二次元の作品もいくつか展示してあり、氏のイマジネーションの豊かさに感心しました。

 

とくにこのオレンジとピンクのこの三枚の絵による作品は圧倒的でした。こんな色だけの絵が三枚貼られているだけなのに、感覚に強く訴えてくるものがあるのは不思議でした。

 

ほかにも以下のような単純な図形の作品が、脳に刺激を与えてくれて、普段と違う情報処理の経験をさせてくれました。

 

終わってから図録を買うかどうか迷ったのですが、この空間展示で感じた記憶が、図録で薄められるような気がして、買うのをやめました。芸術は現物にしか持っていない力があります。

 

もう一度直島に行ってみたくなりました。次回は作品を正しく理解できるような気がします。