Cobalt's Photolog

About Photos and Arts

「鷹野隆大 毎日写真1999-2021」展の感想

国立国際美術館で開催されている「鷹野隆大 毎日写真1999-2021」展に行きました。

f:id:toshihiko-w:20210911205451j:plain

鷹野隆大氏はまったく存じ上げない写真家です。でも国立国際美術館で個展をやるくらいだし、上のチラシの写真もよかったので、他にもおすごい作品が見れるに違いない、と期待して行ってみたのですが、残念ながらお腹がいっぱいになるというところには至りませんでした。

 

街を歩いていたらどこにでもあるような普通の写真がたくさんありました。そういうものの中に物語や絵画的な面白さを見出そうという姿勢は好みです。でもソールライターみたいな絵画性が感じられず、何が評価されているのかよくわかりません。日本の風景だからかもしれないなあ、と考えながら鑑賞していましたが、こういう街中の写真で、嫉妬するほど面白い構図のアマチュア写真はいますから、作品の力が足りないのだと思いました。お金を払って入場した以上、やはり感動は欲しいです。

 

後半に、影をモチーフにした面白い作品がありましたので、救われました。影はありふれたわかりやすい被写体ではありますが、どういうテクニックで撮ったのか、わからない写真には興味がひかれました。

 

f:id:toshihiko-w:20210911210041j:plain

f:id:toshihiko-w:20210911212627j:plain

 

体験型の作品もひとつありました。壁一面に塗布した蓄光塗料に、自分を影にしてフラッシュで光らせるという仕組みです。下の写真は実際に写した私のシルエットです。壁にこのように影が残ります。この仕掛けの元ネタは、どこかにあるのかもしれませんが、理屈抜きで楽しいですね。

f:id:toshihiko-w:20210911210655j:plain

 

同時開催で「Viva Video! 久保田成子展」というのも開催されていたので、のぞいてみました。

 

f:id:toshihiko-w:20210911212907j:plain

 

ニューヨークを拠点に活躍したビデオ・アートのパイオニア、久保田成子氏(1937-2015)の作品展です。こちらも私の知らないアーティスト。新潟の美術館からの企画展のようです。

 

作品は、モニターやビデオ、プロジェクターなどのAV機器と、立体造形を組み合わせたものがたくさん展示されてました。そういえば、昭和の終わり頃はこういうアートが流行ったような記憶があります。

f:id:toshihiko-w:20210911214420j:plain

たぶん当時は先進的な作品だったのだと思いますが、現代のCGや高画質ディスプレイに慣れてしまっては、とても古臭く思えました。ブラウン管がちゃんと映っているのに、感動したくらいです。電化製品との組み合わせは、機械が劣化して映像が映らなくなると作品として成り立たなくなるので、故障とかしたらどうするのだろう、と思いました。テクノロジー系のアートは、レトロなものよりも最新技術の作品のほうがいいです。

 

作品だけでなく、久保田成子氏の人生もかなり詳しく紹介していました。若い頃の作品には、痛々しくて見られないものもあり、時代を感じさせる内容になってます。

 

国立国際美術館を出て昼食を食べようとすると、近接する新しい美術館が目に入りました。外観はほぼ完成しています。今は内装を工事しているのでしょうか。黒い壁面の壁が特徴的な建物です。来年2月の開館が楽しみです。

f:id:toshihiko-w:20210911211943j:plain