Cobalt's Photolog

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ポートレート写真におけるPhotoShopでの肌補正

ポートレートの肌補正について書きます。

 

被写体をお願いする女性には、肌のコンディションがよくない人がいます。昔は、そういう人を撮影するのがちょっと苦手でした。一眼レフのカメラの性能が良いため、肌をクリアに写してしまいますし、撮影データをそのまま渡すと、モデルさんにがっかりされます。そうなると二度と撮らせてもらえません。

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綺麗な肌にする最も簡単な補正方法は、明るさとコントラストを変えて、顔全体を明るくしてしまうことです。これは無料の画像補正ソフトウェアにもついてる機能なので、多くの人が使っている補正方法です。でも、これではニキビ跡が残ってしまうところがあります。

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撮るときレンズにソフトフィルターを付けるのもひとつの手段です。私は補正が面倒くさいので、ポートレートを撮るときには、いつもソフトフィルターをつけるようにしていました。ただし、全体的にぼやっとした写真になるのがデメリットです。逆光で撮るとよい雰囲気になるので、別の楽しみもあります。

(以下の画像は、フォトショップでソフトフィルターのように加工したものです。レイヤーを複製し、ガンマぼかしをかけて、50%の薄さで元の画像に被せて合成しています。)f:id:toshihiko-w:20211121212053j:plain

 

最近はソフトフィルターを使わないようにしているので、フォトショップで補正しています。まずはオリジナルデータがこれです。ニキビ跡と乾燥肌が気になります。

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最初にニューラルフィルターをかけます。ニューラルフィルターは、顔のエリアを自動的に判別して、綺麗に見せてくれる機能があります。西洋人は日本人よりも肌が綺麗でないので、この機能のニーズが高いのでしょう。最近フォトショップに追加されて、昔はありませんでした。これがなかなか優秀なフィルターなので、フォトショップをCCにしてよかった、と初めて思いました。

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でも少しニキビ跡が残ります。ニューラルフィルターは、こういうニキビ跡が残らないくらいの強度にもできますが、肌がツルツルになってしまい、自然な感じが消えてしまうので、強くしません。残ったニキビ跡はスタンプ機能で消していきます。スタンプの元は周辺の画像からとります。70%くらいの強度でかぶせていきます。

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ニキビ跡を消したら、明るさとコントラストの補正をかけます。トーンカーブを調整することもありますが、白トビしないように気をつけて肌を明るくしていきます。

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最後に30%くらい薄く設定したブラシツールで、凹凸やテカリの気になるところに色を載せて誤魔化していきます。パウダーをかける感じです。やり過ぎるとベタっとなってしまうので、ほどほどにしておきます。

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肌の補正の目標は、「肌のコンディションが最高だったらこれくらい?」というところを目指します。当然ニキビはありませんし、傷もない状態です。あわせて黒子やソバカスを、どの程度消すかという課題もあります。黒子の大きさと位置によっては、その人の特徴になっている場合があるので、残したほうが良いかもしれません。でもその場合も少し薄くするなど、目立たせなくします。モデルさんと、仕上げについて事前に相談しておくのもよいですね。

 

ほかの顔のパーツ、瞳や睫毛などは丁寧に仕上げます。ピントがぼけている場合は、シャープツールでくっきりさせます。瞳の白いところに欠陥がでている場合は薄くしたり、明るくしたりします。

 

唇の形が気になる場合は、ゆがみフィルターで、歪みを補正したりします。化粧品広告の女優さんの画像を見ると、唇をかなり作りこんでいますね。でもあれは、絵を描くのと同じで、時間もかかるので私はやりません。

 

フォトショップでいろいろ補正できるといっても、表情が悪いと、あまりいい写真になりません。瞳や口元などがいい感じのものを選べるように、撮影時には同じポーズで複数枚撮っておきます。そうすると、200カット撮影したら、被写体さんに自信を持って渡せる写真が、20カットくらいになります。補正するのに、1枚あたり5分ほどかかりますので、画像選択を含めて2時間ほどの作業時間になります。土日ならその日の夜にやってしまいます。

 

ポートレートを撮るとき、シチュエーションやポーズによる派手さや、構図が気になりますが、女性の大きな魅力はやはり顔ですので、顔を美しく撮って仕上げるというのはポートレートの基本だと思います。