大阪国立国際美術館で開催されているテート美術館展へ行ってきました。
テーマが光ということもあり、写真を撮るのに、とてもよい刺激になりました。鑑賞料金は2100円と少しお高いです。美術館は最近値上がりしたような気がしますね。平日だったのですが、多くのお客さんが訪れていました。
今回の展示作品のうち、私が最も感銘を受けたのは、ターナーの「陽光の中に立つ天使(太陽の中に立つ天使)」です。
いやもう本当に素晴らしい絵画でした。上の画像では、描かれているものがはっきりとわかりますが、実物では絵具の質感で、何が描かれているのか、すぐにわかりませんでした。全体的にぼんやりとしているので、じっと見つめているうちに、表現されている内容がわかってきます。
中央上部の光の中心に立つのは、剣を持った天使です。その足元に、裁きをうける悪魔や人間たちが見えてきます。左下にいるのは獣頭の獣人でしょうか。右下もなにか残酷なシーンのようです。
とにかく素晴らしい絵でした。明るい色彩の重ね合わせの中に暗い部分があり、光り輝く天使の存在と、闇の部分の対比が見事です。立体的な絵画の質感ならではの表現が、ととにかく素晴らしく、この絵を見るだけで料金を払った価値がありました。
それからもう一枚、強烈な印象だったのは、ジョン・マーティンの「ポンペイとヘルクラネウムの崩壊」です。
大きな絵でしたがとても緻密でした。山の溶岩、荒れる海、人々の恐怖が、鮮明に描かれています。この絵は1822年の絵です。現代の我々は、SF映画などで、実際に見ることのないこのような映像に見慣れていますが、当時の人はこんな絵を見てどれだけ興奮したでしょうか。
他にもたくさんいい絵画があったのですが、ヴィルヘルム・ハンマースホイという画家の作品も、心の琴線に触れました。この作家については、よく知らなかったので、別途画集を見てみようと思います。
絵画だけでなくインスタレーション作品も展示されてます。ジェームズ・タレルの作品を久しぶりに体験しました。とても好きな作家です。この人の作品は理系と芸術のクロスオーバーなんですよね。画像だけみると、バーのネオン管みたいですが、実際の空間には夜の街とは違う空気感があります。
鑑賞前は料金がちょっと高いなあ・・・などと感じていましたが、会場を出る時は充実感で満たされていました。
やはりこうした作品には、量産型のアートにはないものがあります。心を豊かにしてくれる贅沢な経験価値だと思います。大阪展は2024年1月14日までです。お薦めです。